芦沢央先生による「火のないところに煙は」読了。
5つの異なる実話怪談が、やがて1つに収束されていく・・・
「火のないところに煙は」この題名と内容がどのように繋がっていくのか?ちゃんと回収されていました!すご!
意味のない箇所はなく、緻密な物語展開。それでいて「ヤラセ感」のようなものは一切なく。「ああ、本当にこういうことがあったんだろうなぁ」と何度も思わされました。
もちろん実話会談なので、創作ではなく事実として受け止めて読んでいますが。実話怪談が創作めいた書き方となっていると、読み手は興醒めです。実話はあくまでも実話!
芦沢先生は実話怪談分野も第一人者になれるのではないかと思うほど、それぞれが怖いです!そして1つの流れに収束させていく手法・・・脱帽です!
どことなくモヤッと終わったとしても、それが実話怪談の醍醐味。創作でなく事実に基づいているのだから、むしろモヤッとした方が現実味を帯びるのです。
実話怪談という分野を意識しながら、是非読んでみて欲しい一冊でした!
【余談】実話怪談を執筆したことがある私
実話怪談については上述した通り、あくまでも「実話」です。語り手が「私」一人称であるならば、最後に「私」が死にオチすることは絶対に有り得ません。それをやってしまうと、語り手は誰?という話になってしまいますからね!
何を隠そう、私は実話怪談を創作めいて書いてしまった挙句、語り手である「私」が死にオチしたという迷作を書いた経験があります・・・
そしてそれをあろうことか、竹書房怪談文庫の怪談マンスリーコンテストに出してしまいました・・・!
当然それは実話とみなされることなく、没作になりました・・・あくまでも実話であり、実話ならではの怖さや終わり方を追求しないといけないので難しいですよね。
ネタをお持ちの方に取材はマスト!そこから話を少しだけ盛るぐらいはアリかもしれませんが。
実話怪談・・・奥が深い分野です。